HuPEX ®を使用した論文が、がん免疫学に特化した国際的な学術雑誌“OncoImmunology” に掲載されました。
本論文では、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)組織において、腫瘍浸潤 B 細胞(TIL-B)および抗体産生細胞(ASCs)の機能を、シングルセル RNA シークエンシング、B 細胞受容体レパートリー解析、蛍光多重染色、空間発現解析などを組み合わせて包括的に調べた。解析の結果、CXCL13⁺CD4⁺ T 細胞が B 細胞を腫瘍近傍へ誘導し、TIL-B の各分化段階が観察され、ASCs のクローン展開が確認された。これらの ASCs は体細胞突然変異頻度が低めであり、胚中心反応ではなく外リンパ節外応答によって活性化されている可能性が示唆された。さらに、再構成抗体や血清抗体を用いたタンパク質マイクロアレイ解析から、腫瘍優位発現抗原に対する抗体結合が認められた。そして、それらの抗体はマクロファージや NK 細胞の Fc 受容体を介して認識され得ることから、腫瘍免疫を促進する可能性が示された。腫瘍内抗体産生細胞(ASCs)の存在は良好な予後と相関しており、この研究は、B 細胞を標的とする新しいがん免疫療法戦略の可能性を示唆している。
詳細は論文をご覧ください。
Tumor-infiltrating B cells produce tumor-specific antibodies and may contribute to suppressing tumor in head and neck squamous cell carcinoma
Junsei Sameshima ,Hu Chen ,Naoki Kaneko ,Lijing Yan ,Shiho Yokomizo ,Tomoki Sueyoshi ,Haruki Nagano ,Taiki Sakamoto ,Shoichi Tanaka ,Yasuyuki Maruse ,Taichi Hattori ,Ryoji Kitamura ,Yoshikazu Hayashi ,Takashi Maehara ,Shinsuke Fujii ,Tamotsu Kiyoshima ,Thomas Guy ,Zivile Giedraityte ,Wataru Kumamaru ,Masafumi Moriyama &Shintaro Kawano
Accepted 28 Jul 2025